検査科

臨床検査科部門紹介

病院では様々な検査が行われています。
検査といってもX線検査や内視鏡などもありますが、臨床検査科では、血液・尿などの成分の測定を行う検体検査や、患者さまの身体の機能を直接的に調べる生理機能検査(生体検査)を行っています。
これらの検査から、各器官の疾患や不調の発見、病気の診断・経過観察に必要な科学的データを提供します。
臨床検査技師は、精密で正確なデータを迅速に報告ができるよう心掛けています。

検査を受けるときの注意点

血液検査の注意点

投薬と食事は医師の指示をお守りください。
食事や飲酒をした後に採血を行うと血糖値・尿糖値・中性脂肪の検査等に大きな影響を与えます。
また、食後は血清が濁るため検査が出来なくなる場合もあります。
このように食事の影響が出てしまう血液検査を行うときは、食事を摂らずに来院していただく場合があります。
採決前に食事をされた場合は、医師にその旨をお話ししてください。
病気の治療方法等により、採血前でも食事を摂らなければならないこともありますので、主治医の指示に従ってください。
服薬も同様に検査値に影響を与える可能性のある場合は、医師の指示に従ってください。

尿検査の注意点

投薬は医師の指示をお守りください。
ビタミン剤、ドリンク剤に含まれるビタミンCが尿糖値や潜血反応に影響を与えます。
服薬が検査値に影響を与える可能性がある場合は医師の指示に従ってください。
早朝尿・中間尿・時間尿・蓄尿などと、採尿方法を指示されることがあります。
検査目的により、採尿法が異なることがありますので、指示された通りにお願いいたします。
生理の時期に採尿を指示されたときや、排尿直後で今すぐには尿が出ないという場合など、また採尿後尿を誤ってこぼしたしまった場合、お困りの事や何か不明な点がありましたら医療スタッフにおたずねください。

生理検査の注意点

検査直前の運動は避け安静にしてください。
運動によって影響する検査項目があります。なるべく安静の状態で検査をお受け下さい。
逆に運動負荷をかける検査があります。検査前に胸部不快感、胸痛など気になる点などがありましたら医療スタッフにお話しください。
腹部超音波検査では食事制限があります。食事により見えにくくなる臓器がありますので、検査前日の夕食は8時頃までにお摂りください。
また朝食をお摂りにならないでください。
各検査ごとに様々な注意点がございます。その都度丁寧にご説明させて頂きますが、ご不明な点や不安な事がございましたら医療スタッフにおたずねください。

代表的な検査項目

貧血や血液の異常を知るための検査

説明
白血球数
WBC
白血球は細菌やウイルスなどの病原微生物などから、からだを防御するための免疫機構となる血球です。白血球が増えているということは、炎症や感染症がおきていることを示しています。
赤血球数
RBC
血液中に含まれる赤血球の数を調べる検査で、貧血や多血症の指標になります。酸素を肺から全身に運搬する重要な役割を担っています。
ヘモグロビン濃度
HGB
ヘモグロビンは赤血球中に含まれる蛋白の一種で、肺で受け取った酸素を全身に供給する重要な働きがあります。またヘモグロビンを作るには鉄が必要不可欠です。鉄不足が貧血を招くのは、鉄不足によりヘモグロビンが作られにくくなるからです。
血小板数
PLT
血小板には血液を凝固させて止血する働きがあります。そのため血小板が減ると、出血が止まりにくくなります。

糖尿病など膵臓の機能を知るための検査

説明
尿糖 糖尿病で血糖値が異常に高くなると、尿中に糖が出るようになります。
血糖 
GLU
血液中のブドウ糖の値を示します。日常生活において重要なエネルギー源なので、血糖値を正常に保つこと(血糖コントロール)はとても大切です。この血糖値が高い場合は、糖尿病、急性膵炎、肝硬変、肥満症などが疑われます。低い場合には高インスリン血症、副腎皮質機能低下症などが疑われます。
ヘモグロビンA1c
HbA1c
採血時よりさかのぼって1~2ヵ月間の血糖のコントロール状態を反映します。2012年4月1日以降国際標準であるNGSP値へ変更しています。
アミラーゼ
AMY
アミラーゼは膵臓や唾液腺から分泌される消化酵素で、これらの臓器の障害をみる検査です。

高血圧、心臓病、高脂血症、動脈硬化に関する検査

説明
総コレステロール 
TC
生活習慣病の危険因子である動脈硬化の進み具合を調べるための検査です。高値が続くと動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞をおこしやすくなります。
中性脂肪
TG
血液中に含まれる脂肪成分のうち、コレステロールと並んで主要なものです。食品中から吸収されるものの他に、炭水化物を材料として肝臓でも造っています。中性脂肪は肥満や脂肪肝で上昇し、動脈硬化の危険因子の一つです。
HDL-コレステロール
HDL-C
一般に“善玉コレステロール”といわれており、血管に沈着しているコレステロールを取り除き、肝臓に運び去る働きをします。低いと動脈硬化を起こしやすいといわれています。
心電図 心臓の動きを電気的な波形に現して記録し、それによって心臓の状況を把握することができます。特に心臓の活動の異常によってあらわれる不整脈の診断には不可欠の検査です。また心臓肥大、冠動脈硬化の有無などがわかります。

肝臓の機能を知るための検査

説明
乳酸脱水素酵素
LDH
体の中で糖分がエネルギーに変わるときに働く酵素で、あらゆる組織に広く分布しています。とくに心筋・肝臓・骨格筋に多く含まれていて、その組織が破壊されると血液中に流れでて値が上昇します。日常的な運動や採血時の状況で血液中の赤血球が壊れたときでも高値を示します。
アスパラギン酸
アミノトランスフェラーゼ
AST
心臓や肝臓の働きの指標となる酵素です。心臓に一番多く、次いで肝臓・骨格筋の3カ所に集中しています。肝臓の細胞に障害が起こるとこの値が高くなります。また、飲酒後や激しい運動の後も数値が高くなることがあります。ASTとALTが非常に高い場合には急性肝炎が疑われます。
アラニンアミノトランスフェラーゼ
ALT
肝臓の働きの指標となる酵素です。ほとんどが肝臓の細胞中に含まれています。肝臓の細胞に障害が起こるとこの値が高くなります。ASTとALT値が高く、ALTがASTより高い場合は慢性肝炎や脂肪肝が疑われます。
アルカリフォスファターゼ
ALP
ほとんどの臓器に含まれている酵素ですが、主に肝臓・胆管・胆嚢などに異常がないかを見る検査です。骨由来・小腸由来のものなど様々な種類があることから、由来を特定することでさらに詳しく調べることができます。
γ―グルタミントランスペプチダーゼ
γーGTP
肝臓、腎臓、膵臓などに含まれている酵素です。アルコール性肝障害のときによく上昇します。AST・ALTの上昇を伴うときには脂肪肝から脂肪肝炎への進行もありますので注意が必要です。他に薬剤性肝障害、閉塞性肝障害でも上昇します。
総ビリルビン
T-BIL
ビリルビンは血液中の赤血球が古くなり壊れるとき、ヘモグロビンが分解してできる黄色い色素です。肝臓でつくられ胆汁に多く含まれます。肝臓や胆管に障害が起こるとビリルビンが胆汁中に流れず血液中に出て黄疸が生じます。肝臓や胆のうに異常があると、高値を示します。
総蛋白
TP
血液中のタンパク質の総量をあらわし、一般に健康や栄養状態の指標として利用されます。総蛋白値が高い場合は、高蛋白血症、慢性肝炎、脱水症などが疑われます。低い場合は、低蛋白血症、肝障害、ネフローゼ症候群、栄養不良が疑われます。
アルブミン
Alb
肝臓で作られ血液中の蛋白を構成しています。全身の栄養状態や肝臓の障害を見るための検査です。

腎臓の機能を知るための検査

説明
尿素窒素
UN
尿素は肝臓で生成されます。蛋白質が利用された後にできる老廃物で、腎臓の糸球体でろ過され大部分は尿中に排泄されます。腎臓の機能が低下すると、ろ過しきれない分が血液中に増加します。腎機能が低下していると数値が高くなります。
クレアチニン
CRE
尿素窒素と同じく老廃物の一種です。腎臓が正常に働いているときには尿中に排泄されますが、腎機能が低下すると排泄能力が低下し血液中の値が上昇します。
尿酸
UA
尿酸は細胞の成分であるプリン体が分解してできた老廃物です。魚介類や肉類などプリン体を含む食事を摂取しすぎると、血液中の濃度が高くなると溶けきれなくなった尿酸が結晶化します。足の親指や膝関節に炎症を起こしたり、腎結石の原因になります。
尿蛋白 腎臓に障害があるとタンパク質は尿細管で再吸収されずに尿中に漏れ出てしまいます。腎臓の病気を見つける手がかりになります。尿中の蛋白が陽性の場合は、腎炎、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群、尿管・膀胱・尿道の炎症や結石などが疑われます。

生理検査(疾患別)

説明
心臓疾患
(不整脈や狭心症・心筋梗塞など)
心電図検査・負荷心電図検査・24時間心電図検査などの検査を行います。
肺疾患
COPD(慢性閉塞性肺疾患)や
気管支喘息など
肺機能検査(肺活量・努力性肺活量)の検査を行います。
睡眠時無呼吸症候群(SAS) 携帯用の簡易検査装置を持ち帰り、ご自宅で一晩の睡眠記録を取って頂く検査を行います。

生理検査(目的別)

説明
動脈硬化検査 ABI検査(CAVI)で動脈の硬さ(血管年齢)や狭窄の程度がわかる検査を行います。
眼底検査 高血圧による眼底の細動脈変化、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性症、眼底出血、緑内障などの早期発見につながる検査で、両眼の写真撮影を行います。